ニュージーランドの医療システム・GPの予約と処方箋
- Aya
- 1月20日
- 読了時間: 8分
先日久しぶりにGP(一般診療)に行ってきたので、ニュージーランドでの病院の予約方法と受診の様子を紹介します。
ニュージーランドの医療のしくみ・GP(General Practitioner)とは?
ニュージーランドでは、病院にいって医師に相談したり薬をもらう際、まずはGP(呼び方はそのまま「ジーピー」)に行きます。
このGPはGeneral Practitionerの略で、日本語に直訳すると一般開業医のことです。

日本の場合、肌の悩みなら皮膚科、ねんざや骨折の場合は外科、頭痛なら頭痛外来などそれぞれの症状にあった専門医に相談することが一般的かと思いますが、ニュージーランドではまず最初にこのGPが全般的な診察(プライマリーケア)を行ってくれます。
※緊急性が高い場合を除く
GPがより専門的な対応が必要であると判断した場合に、専門医やより大きな病院をされ、セカンダリーケアに進むという流れが一般的です。調べてみると、イギリスやオーストラリアでも同じ仕組みのようです。
GPはかかりつけ医のようなもので、基本的に自宅から近い場所にある診療所をGPとして登録します。毎回違う医者ではなく、基本的には同じ医者に継続して診てもらうことで、以下のようなメリットが考えられます。
病歴や症状・経過などがカルテへ継続的に蓄積され、より適切な情報を基に診療や治療を受けられる
症状ごとに受診するクリニックや医師を変える必要がない
家族も同じGPに登録することで、家族単位での体質や病歴なども考慮してもらいやすい
ホームドクターのような立ち位置でもあるので、通常は同じ家に住む家族はみんな同じGPに診てもらうことが多いようです。
在ニュージーランド日本国大使館のサイトでは、日本語でニュージーランドの医療の仕組みについて解説されているので、こちらのサイトを参考に見ておくと理解が深まります。
ニュージーランドでGPを予約するには
GPで一般診療を受けるには、事前予約が必須です。
注意すべきはこの予約が1ヶ月以上待つことがザラにある、ということ。
私も今回1月半ばに受診しましたが、予約したのは12月初旬でした。年末年始のホリデーを挟んだという理由もありますが、次の予約をとろうとドクターの予約枠を確認すると、最短でも3週間ほど先であることがほとんどです…。
そのため、何かちょっとでも気になることがあれば早い段階で予約をしておく方が精神的にも安心できると思います。
私はいつもManage My HealthというアプリでGPのオンライン予約をしています。
スマホのアプリで、GPの予約やビデオコンサルテーション、関連医療機関の案内やアレルギーをはじめとする基本的な健康知識の記事を読んだり、ブックマーク保存ができます。

このアプリからいつでもドクターの空き時間を確認できるので、とても便利なアプリです。
なお、一度受診すれば、次回から「前回受診した医者の診療を受ける」というボタンが表示されるので、同じ医師(GP)を予約することも簡単ですし、万が一他の医師を予約したいという時もアプリ上でクリニックに所属するドクターを一覧で見て選ぶことができます。

ニュージーランドの一般診療、いくらかかる?
受診するクリニックにもよりますが、一般的なGPの診察料は$60~$70が相場のようです。
私が登録しているGPは$65で、日本円にすると5,600円前後。結構高いなと感じますが、のちに紹介する処方箋は安いのでこんなもんかな、という感じです。
予約当日はクリニックの受付に行き、「〇時に予約した△△です」と伝え、先に診療代$65の支払いを済ませます。
その後はロビーで待ち、ドクターに名前を呼ばれ個室へ案内されます。
基本的に事前予約制なので、ロビーでの待ち時間はそんなに長くありません。
診療される個室には簡易的なベッドのほか、水面所もついている結構広めな部屋でした。

私の登録しているGPでは、1回の診察につき1人15分までと決められており、もし時間を大幅にすぎた場合は追加料金($20ドルほど)が発生する場合もありますという張り紙が張られていました…。
その為、ドクターもかなりテキパキ動いていて、いつも忙しそうな印象です。常に話ながら目の前のモニターで何かを調べたり、必要な書類をすぐ印刷してくれます。
かといって雑だと感じたことはなく、短い時間の中でも丁寧に話を聞いてくれます。これはドクターにもよると思いますので、同じクリニックでも相性が良いドクターを見つけるまで何人か試してみることをおすすめします。
海外在住ならではの悩み?英語での診療について
日本からニュージーランドに移住して4年ちょっとが経ちますが、日常会話や仕事での英語はそれなりに理解できるものの、医療のような専門用語が多い場では不安や英語でのコミュニケーションに苦労することも少なくありません。
私は事前に相談したいことをある程度まとめて、発音が難しかったり聞きなれない単語は紙にメモをした状態で受診しに行きます。ドクターに説明をするときは、その紙に書いた単語を見せながら「I feel this feeling when...(この症状をいつ感じるか)」という風に話すことで中学レベルの英単語でも言いたいことが伝わります。笑
診療時間も15分と短いので、複数の症状を一気に相談するのではなく、1回の診療につき1つの症状に絞って話す方が良いと思います。
また、カルテにも国籍(生まれ)を書く欄があり、私の場合は「Other Asian」で登録されています。ドクターも難しい単語や専門用語が出てくるときは、話しながら手元のメモ用紙に単語を書いてくれたり、簡単な英単語に置き換えて説明をしてくれるので、非常に助かっています。
これは移民が多いニュージーランドならではの対応と言えるかもしれません。
それでも不安な場合は英語が話せる人に同行してもらうとか、事前に日本語と英語の通訳ができる人を予約して診療時にスマホの通話で通訳してもらうなどの方法があります。
とはいえ、毎回通訳の人を探すのも手間ですし、いざという時に自分の言葉で説明できないと大変なので、緊急性がない一般診療のGPであれば自力でコミュニケーションがとれるようにちょっとずつ練習・慣れていくことが大切だと思います。
病院の診察でよく使う英語のフレーズ
個人的にGPの一般診療や処方箋をもらう際によく使う英語をリストアップしておきます。
英単語 | 日本語訳 |
Prescription | 処方箋 |
Medication | 薬、投薬 |
Allergy(*発音はアレジーに近い) | アレルギー |
Headache | 頭痛 |
Symptom | 症状 |
Diabetes | 糖尿病 |
Period pain | 生理痛 |
Abdominal pain/Stomachache | 腹痛 |
Referral | 紹介(状 |
例えば…
・「Do you have a family history of diabetes or heart disease?」
(あなたの家族に糖尿病や心臓病の病歴を持つ人はいますか?)
・「I’m here to pick up my prescription.」
(処方箋を受け取りに来ました。)
といった文を実際によく聞きます。
ニュージーランドの処方箋・Prescriptionをもらうには
診察が終わって処方してもらう薬がある場合、ドクターにPrescription(処方箋)を書いてもらいます。

どこの薬局がよいか希望を聞かれますので、私はいつもGPがいるクリニックに併設されている薬局を指定しています。
ニュージーランドの多くのクリニックは診療所と薬局が併設されているか、同じ敷地内にありますが、GPが家から少し離れている場所であれば、処方箋をもらう薬局は家の最寄りのドラッグストア(Chemist Warehouseなど)を指定するのもおすすめです。
GPの診療を終えた後は、診療費は既に支払ってあるので、そのまま隣の薬局に行って自分の名前を伝え、すぐに薬を処方してもらえました。
ニュージーランドの処方箋はいくら?
2025年現在、ニュージーランドでの処方箋はほとんどの場合1品目につき5ドルです。
日本円にすると500円いかないくらいなので、頭痛薬やかぜ薬、花粉症の薬などをドラッグストアで定価(20ドル以上…)で買うよりも、GPで処方箋を書いてもらった方が断然お得です。
例えば生理痛でGPで診察をしてもらった場合、以下の処方がされたとします。
低用量ピル 3ヶ月分
鎮痛剤(頭痛薬) 2週間分
出血を抑えるトラネキサム酸の錠剤 2シート
この場合、それぞれの量に関わらず合計3品目(3種類)の処方なので、5ドル×3で合計15ドルのみ支払います。

処方箋の補助制度などもあり、年齢やコミュニティサービスカードを持っている方は料金が免除になる場合もあるようです。処方箋料金については今後変更される可能性もあるため、受診前にニュージーランド政府のWEBサイトで確認することをおすすめします。
以上がニュージーランドのGPと処方箋についての基礎知識です。
ニュージーランドでの一般診療や薬の処方が必要なときに参考になれば幸いです。
※診療料金やシステムはクリニックによって異なる可能性がありますので、ご自身で責任をもって事前にリサーチすることをおすすめします。情報源もニュージーランド政府や日本大使館など、信頼できる公的機関の情報かどうかもご確認ください。
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