私は日本で個人事業主として開業したのですが、ニュージーランドへの移住に伴い、ニュージーランドでも個人事業主(Solo Trader/ Self Employed / Freelance)の申請を自分で行いました。
今回はそんなニュージーランドでの開業に必要な”最低限のステップ”を振り返ってみようと思います。
※前提として、今回私が記載している情報は会社登録自体がない「個人事業主」としての起業方法になります。法人として会社を設立する手続きとは異なりますので、ご注意ください。
世界一起業のしやすい国、ニュージーランド
そもそもニュージーランドは、世界一起業しやすい国に選ばれたことがあるほど、起業するまでのステップは非常にシンプルです。
私も個人事業主として申請をする際、最低限必要な情報がそろっていたので、申請はオンライン完結・1日で完了しました。
日本で確定申告や個人事業の申請をしたときは、何度か郵送をしたり税務署に実際に出向いた記憶があります…。
e-taxというオンライン申請用のツールも使ってはいたのですが、未だにカードリーダーを使ってマイナンバーカードを読み込んだり、国税庁のWebサイト上のリンクが切れていたりと散々だった記憶があります。
私が慣れていなかったからかもしれませんが、体感的には、日本とニュージーランドで比較すると、ニュージーランドでの開業が圧倒的に簡単だなと個人的に感じています。
ニュージーランドで個人事業主として開業するのに最低限必要なもの
ニュージーランドで個人事業主として登録するのに必須なものは、下記の通りです。
IRDナンバー(日本のマイナンバー・個人番号のようなもの)
労働条件が自由なワークビザ
上記の2つが最低限あれば、自営業を始められます。たったの2つ…!
もちろんこの他にも「推奨されている」ものや、年間収入額によって必要なものがありますが、まずはこの2つを解説していきます。
1.IRDナンバー
IRDナンバーは、ニュージーランドで働く際に絶対に必要な納税者番号です。
個人事業主や自営業でなくとも、ワーキングホリデーでバイトをする際に必ず必要なものになります。
IRDナンバーの申請はオンラインでできますので、下記IRDのWebサイトをご覧ください。
私はニュージーランドに本格的に移住する前に、ワーキングホリデーで滞在していました。
その時に既に取得していたので、今回個人事業主として開業するときにも、同じIRDナンバーを使用しました。
2.労働条件が自由なワークビザ
ニュージーランドで個人事業主として開業する際、「労働条件が自由なワークビザ」が必要とイミグレ(移民局)に記載されています。
ワーキングホリデービザもオープンワークビザ(労働条件が自由)の1つなので、ワーホリでもOKということになりますが、ワーホリは1年という期限付きのため、個人事業主としてニュージーランドに地に足付けて活動していくためには、他のビザが必然的に選択肢となるでしょう。
私はニュージーランドへ移住し、オープンワークビザを取得してたので、このビザという条件も特に問題ありませんでした。
※なお、ビザについてはライセンスを持ったアドバイザーの方しか情報提供を行えないという法律がありますので、ニュージーランドのワークビザに関する質問は移民アドバイザーさんにご相談ください。
上記の2つ、つまりビザがあってIRDナンバーも取得し、IRDにきちんと申告して納税していれば、個人事業主となります。それ以外に開業届を書類で出すとか、ないのです。(;^ω^)
簡単すぎて最初は不安でいっぱいでした。(笑)
ニュージーランドの税務局・IRDのWebサイトにも自営業・個人事業主についての記載がありますので、チェックしてみてください。
年間の売上が$60,000を超える場合は、GSTの登録も!
先ほどのIRDのサイトにも記載されていますが、年間の売上が60,000ドルを超える場合、GSTの登録が義務付けられています。
GSTとは、いわゆる消費税のことです。現在ニュージーランドの消費税は15%となっていますが、課税対象となる活動を行っていて、過去12か月間の売上高が60,000ドルを超える場合は、このGSTにも登録が必要です。
60,000ドル未満の場合は義務ではなく任意となります。
私はニュージーランドでの個人事業主としての活動は今回が初めてとなるのですが、日本で開業した際の年間売上や、GSTに登録するメリットも踏まえて、ニュージーランドでの開業1年目からGSTに登録しました。
GSTの申告タイミングは毎月・2ヶ月ごと・6ヶ月ごとという選択肢があるのですが、私は2カ月ごとにしています。
毎月は面倒くさいし、6ヶ月ごとだと還付されるまでに時間がかかりすぎるので、2カ月がちょうど良い感じです。
ニュージーランドで個人事業主としてGSTに登録する方法については、下記の記事で詳しく紹介していますので、参考になれば幸いです。
個人事業主のための保険・ACC
ニュージーランドでIRDに個人事業主として登録が完了されると、登録された情報がACCに共有されます。
ACCとは事故補償制度、いわゆる保険です。NZ国内の事故でけがをしたとか、メンタルを病んで仕事を休職せざるを得なくなった…とか、「万が一」の場合に治療費を保証する制度です。
IRDに個人事業主として登録が完了すると、自動的にACCに加入されますので、特に申請は必要ありませんでした。
逆に、その存在を知らなくて、ACCから年間の保険費の請求書が来たときにビビりました。笑
このACCには、年に1回支払いをします。
その他、個人事業主としてニュージーランドで活動していく際にあったほうが良いもの
IRDナンバー、ビザ、ACCの他にも、ニュージーランドで個人事業主として活動していく際、下記の登録が推奨されています。
NZBN(ニュージーランド事業者番号)
ビジネス用銀行口座
事業名の商標登録
会計ツール(XeroやHnry)
私は日本のクライアントとの取引もあるので、自分一人で確定申告はキツイ…と思い、ニュージーランドの顧問税理士さんと契約しています。
それに伴い、会計ツールのXeroも登録しました。
また、自分の事業名でビジネス用の銀行口座を開設し、デビットカードもビジネス用に持っています。
ビジネス用銀行口座がないと、申告の際に非常に大変になるので、ビジネス用と日常生活費用で銀行口座を分けた方が良いと思います。
まとめ
以上のように、ニュージーランドで個人事業主・フリーランスとして活動していくには、
IRDナンバー
ビザ
は最低限として、
ビジネス用銀行口座
会計ツール
もあるとよいでしょう。
※上記の情報は2024年時点の情報です。開業される際は、最新の情報をご自身でご確認することを推奨します
余談:Freelance、Solo Trader、Self-employedの違いってなんだろう
ニュージーランドでは一般的に個人事業主を名乗る際、「Self-employed」もしくは「Solo Trader」という英単語が使われます。
ただ、実際には「I am a freelance designer. (私はフリーランスのデザイナーです)」といっても問題なく通じますし、Solo Traderが使われるときや、Self employedが使われるときもあるので、この3つに大きな違いはないという認識です。
ニュージーランド人に聞いてみても、「全部同じだよ!」と言われました(;^ω^)
ニュアンス的には微妙に違うのですが、ニュージーランドの税務局・IRDでは「Self-employed」という区分けになっています。
参考:Self-employed - Inland Revenue
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